
テレワーク制度と廃止する企業の理由とは?テレワーク廃止に向けて企業が準備すること
- カテゴリ: 悩み・問題点
- 公開日: 2024/4/15
新型コロナウィルスの影響により、テレワークを導入する企業が急増しました。
しかしコミュニケーションや生産性低下などテレワークのデメリットが浮き彫りになり、最近ではテレワークを廃止する動きも活発になっています。
テレワークを廃止することに抵抗を感じる従業員も出てくるのではないでしょうか。企業側は廃止に対して慎重に判断する必要があります。
今回はテレワーク制度の廃止がなぜ増えているのか、廃止することで起こり得る影響、テレワーク廃止に向けて企業が考えるべきことについて解説していきます。
テレワーク廃止について悩んでいる企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. なぜテレワークを廃止する企業が増えているのか?
企業がテレワークを廃止する理由として以下の5つが考えられます。
1-1. 理由①コロナ禍の暫定措置だったから
企業にとってテレワークは新型コロナの感染対策のための暫定的な措置だったという理由が1つとして上げられます。
新型コロナが5類に移行されたことにより、感染や重症化のリスクが低下しました。このことからテレワークを廃止し、従来のオフィスワークに戻す企業が増えているのです。
1-2. 理由②コミュニケーション不足になるから
企業側がテレワークをする上で一番の課題と考えるのは「コミュニケーションの取り方」ではないでしょうか。
テレワークではZoomやチャット、メールを使って連絡を取り合うため、どうしても対面に比べて相手の気持ちが汲み取りづらい環境になってしまいます。
また会話が減ることから孤独感を感じる従業員も少なからずいました。
気軽に相談する機会を持つためにもテレワークではなく出社を義務づける企業も多いのです。
1-3. 理由③管理が難しいから
上司の立場からすると、テレワーク中の業務プロセスや勤務姿勢、勤怠・人事評価など様々な管理が非常に難しかったと考えられます。
業務の進捗状況や社内情報の把握のためにも、対面で業務をするほうが良いと判断する企業も多いでしょう。
1-4. 理由④生産性の低下
テレワーク中は従業員が自分自身で仕事とプライベートのオンオフを切り替える必要があります。
中にはうまく切り替えができずサボってしまったり、まわりに家族や子どもがいる環境では集中できないという従業員もいたのではないでしょうか。
オフィスと違い人の目がないテレワークでは、パフォーマンスが落ちてしまうことも問題として上がっています。
生産性の低下は企業にとって大きな問題です。オフィスワークに戻すことで、生産性アップを考える企業も多いでしょう。
1-5. 理由⑤帰属意識の低下
帰属意識とは「自分は会社の一員である」という意識や感覚のことを言います。
テレワークが長くなると、この帰属意識が薄れる従業員が増える可能性があるのです。
帰属意識が低下すると企業理念やチームの目標が浸透しづらくなったり、従業員が会社で長く働きたいと思えなくなってしまう恐れが出てくるのです。
1-6. 理由⑥社員の平等性を保つため
全ての部署や職種でテレワークを導入できるという企業は少ないと思います。
接客や製造などテレワークに不向きな職種もあり、そのことが社員の平等性を欠く恐れもあります。
2. テレワークを廃止する前に企業がするべきことは?
テレワークの継続・廃止のどちらにもメリットやデメリットが存在します。
しかしテレワークのデメリットが多いからといってすぐに廃止を決定するのではなく、企業側はまずはテレワーク継続のための課題解決を考えることが必要です。
2-1. 社員の状況を知る
今までテレワーク勤務をしていた従業員の中には、テレワーク廃止に対し抵抗感を示す人も出てくるかもしれません。
事務的な流れでテレワーク廃止を告知するのではなく、社員1人1人の状況を確認し、なぜテレワークを希望するのか、その理由を把握しておくことが大切です。
中には育児や介護をしながらテレワークをしている人もいるため、テレワークの廃止は生活に大きく影響することもあるでしょう。
最悪「離職」という決断をしてしまう可能性だってあるのです。
2-2. ツールやシステムを見直す
テレワーク廃止の背景には業務管理やコミュニケーション不足が挙げられます。
今はテレワークに適したコミュニケーションツールや管理システムが数多くあります。
自社にあったツールを再度見直すことで、テレワーク継続のための課題解決ができるのではないでしょうか。
2-3. 出社のメリットが感じられる環境を作る
テレワーク廃止を本格的に実施するのであれば、働く環境ややりがいなど従業員がメリットを感じられる職場環境を作る必要があります。
出社のメリットとしては以下のことが考えられます。
・情報漏洩のリスクが減る
・気軽にコミュニケーションが取れる
・正しい人事評価による昇格や昇給
特にコミュニケーションや人事評価は従業員にとっては喜ばしいことと言えるでしょう。
出社することで些細なことも質問できたり、出勤者と在宅者との情報量の差も発生しなくなります。
またテレワーク中はどんなにがんばっても成果主義で評価されることが多いのですが、オフィスワークに戻ることで、働いている姿勢や結果に至るまでの工程に関しても評価してもらえます。
これは上司や部下にとってもメリットと言えるのではないでしょうか。
3. テレワーク廃止によって起こる影響とは
テレワーク廃止によりコミュニケーションや管理面の問題はなくなるでしょう。
しかし廃止することで企業側にはまた別の問題も出てくることが考えられます。
テレワークの廃止で起こりうる影響について解説していきます。
3-1. 優秀な人材の流出
成長意欲が高く優秀な人材の中には、テレワーク環境のほうが働きやすいと感じる人も少なくありません。
企業がテレワークを廃止するとなった場合、自分のキャリアアップのためにもテレワークを継続している企業へ転職してしまう可能性もありえるのです。
また新たに採用募集をかけたとしても、テレワークをしていない企業ということで人が集まりにくく、人員不足に陥ることも考えられます。
3-2. ワークライフバランスが崩れる
テレワークにより通勤に費やしていた時間は自分の休息や家族の時間、スキルアップなどにあてることができました。
テレワークではワークライフバランスが取れた生活を送ることができていたのが、廃止になることで、1日の仕事に準ずる時間が再び長くなります。
このことでストレスを貯めこむ人も増えてくるでしょう。
結果、生産性低下を招くことも考えられるのです。
3-3. 削減していたコストが増える
オフィスワークをすることで、今まで削減できていた経費がまた発生することになります。
例えば社員の通勤手当や営業・商談に使った交通費、接待費。
他にもオフィススペースの設備費用や光熱費も必要になってくるでしょう。
4. テレワーク廃止前にハイブリッドワークの検討を
最近、新しい働き方として注目を集めているのが「ハイブリッドワーク」です。
ハイブリッドワークとは、テレワークと出社の2つを組み合わせた働き方のことを指します。
「特定の日は出社をし、それ以外はテレワーク」「週2日は出社をし、残りはテレワーク」など、企業によって形態は様々です。
働き方の自由度が上がるため従業員は個々の事情に応じて、柔軟に働く場所を選択することができます。
勤務管理など複雑化してしまう問題はありますが、優秀な人材の確保、従業員のパフォーマンスアップも期待できるため、ハイブリッドワークは魅力的な働き方と言えるでしょう。
企業内でテレワーク廃止に対する従業員の意見が分かれている場合は、ハイブリッドワークを選択肢の一つとして検討してみても良いのではないでしょうか。
5. テレワーク廃止は違法になる?
テレワークを廃止する際に、気を付けないといけないのは企業側だけの判断で廃止を決めることです。
雇用契約書や就業規則にて、従業員と企業間でテレワーク勤務や出社不要に合意がある場合、従業員の同意のないままテレワークを廃止することは法令違反となります。
また、就業規則を変更する場合も合理的な内容でなければ変更は認められません。
どうしても判断に迷う場合は、弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
6. まとめ
テレワークに対する意識は、企業側と従業員の間でもギャップがあるのではないでしょうか。
テレワークの本来の目的は「従業員の個々の事情に応じた多様な働き方の実現」や「優秀な人材の確保・育成」です。
それぞれのメリットを加味し十分に分析したうえで、最適な働き方を決断する必要があります。