コロナ禍でテレワークの導入率はどう変化した?【有名企業の事例紹介!】

  • カテゴリ: テレワーク情報
  • 公開日: 2022/3/28
新型コロナが流行してしばらくが経ちます。

企業の多くがテレワークを導入し、社員同士が直接対面しない働き方に移行していきました。

そんな中で、

「世間ではテレワークがどれほど普及しているのだろう」
「他の企業は導入してみてどう感じているんだろう」

と疑問に思う方もいるかもしれません。

働き方改革により、テレワークが推し進められている部分もあります。

コロナ禍の今、テレワークの普及はどのように進み、企業にどのような影響を与えているのでしょうか。

この記事では、

・コロナ禍でどんな風にテレワークの導入率が推移したか
・テレワークを導入した企業の事例


をメインに解説します。

これからテレワークを導入しようと検討している企業にとって、参考になってもらえれば幸いです。

1. コロナ禍でテレワーク導入率はどう変わった?


コロナ禍によって多くの企業が慌ててテレワークを推し進める中、1990年代にテレワークを導入した企業があるのも事実です。

当時としては先を見据えた先進的な制度だったでしょう。

では、コロナ禍以前と比べて導入率はどう変わっていったのでしょうか。

ここでは、総務省による「通信利用動向調査の結果」から導入率を見ていきます。

1-1. 平成29年度の調査では、導入済みまたは導入予定がある企業は18.0%

新型コロナの流行以前の平成29年ではテレワークの導入、導入予定のある企業は全体の18.0%となりました。

導入自体はそこまで進んでいないのがわかりますね。

平成29年以前は年度により普及率に違いはありますが、前年の16.6%と比べれば上昇傾向にあることがわかります。

また、テレワークの形態としてはモバイルワークが圧倒的に多い56.4%。次いで在宅勤務が29.9%となっています。

産業別に見てみると、情報通信業が全体の31.1%、次いで金融・保険業が29.8%となり、その他産業は20%を切りました。

総務省:平成29年通信利用動向調査の結果より

1-2. 平成30年度の調査では、導入済みまたは導入予定がある企業は26.3%

平成30年は総務省がテレワーク・デイズの実施方針を発表した年です。

テレワークの導入、導入予定のある企業は全体の26.3%と前年よりも上昇しています。

形態は相変わらずモバイルワークが全体の6割を占める形ですね。

産業別では前年同様情報通信業と金融・保険業が40%近い普及率となり、その他の産業は20%前後とまだ伸びが少ないような状況です。

総務省:平成30年通信利用動向調査の結果より

1-3. 令和元年度の調査では、導入済みまたは導入予定がある企業は29.6%

令和元年はテレワークデイズも本格化してきた年ですね。

働き方改革関連法案の一部が施行され、よりテレワークを推進する動きが強まりました。

また、年末の12月には中国の武漢で第一例目の新型コロナウイルス感染者が報告されました。

テレワークの導入、導入予定のある企業は29.6%と若干上昇しました。

この年には形態にも変化があり、在宅勤務の導入は50%を超えることに。

産業別の導入状況を確認すると、情報通信業や金融・保険業は40%を超えており、全体としての導入率も前年と比べて若干上昇しています。

総務省:令和元年通信利用動向調査の結果より

1-4. 令和2年度の調査では、導入済みまたは導入予定がある企業は58.2%

令和2年度は新型コロナウイルスが日本に上陸、4月〜5月には国内で初めてとなる緊急事態宣言が発令されました。

その影響もあり、テレワークの導入、導入予定のある企業は58.2%と前年の倍程に伸びる結果に。

すでに導入を行っている企業は47.5%とこちらは前年の倍以上に増えました。

また、新型コロナウイルス感染拡大を恐れて、モバイルワークは33.4%と激減。

それに代わって在宅勤務が87.4%となり、「テレワーク=在宅勤務」という形が出来上がったのです。

産業別に見ると、情報通信業は92.7%、その他産業も50%に近い形で導入し、どの産業もテレワークに拍車がかかりました。

総務省:令和2年通信利用動向調査の結果より

2. テレワーク導入企業の事例を紹介


「他社のテレワーク事情はどうなってるんだろう」と疑問に思う方も少なくないでしょう。

実際にテレワークを導入してみようと思っても、他社の事例がなければ不安ですよね。

ここではテレワーク導入企業の事例を紹介していきます。

2-1. 【日本IBM社】従業員自らが働き方を調整できる「e-ワーク制度」


日本IBM社は情報システムの開発やソフトウェア、ハードウェアを提供する電子機器製造を行う会社です。

日本IBM社ではe-ワークを導入しており、社員がそれぞれの事情から自宅で勤務を行うことができます。

意外にもその歴史は古く1999年までさかのぼり、育児をする女性社員の声によって始まりました。

例えば、毎週水曜日を「e-ワーク」の日と定めて在宅勤務を行ったり、午後のプレゼンに備えて自宅で資料作成を行うなど、柔軟な働き方が可能です。

家庭の事情や性別などにかかわらず、ワークライフバランスのとれる働き方を促進しています。

2-2. 【味の素株式会社】30分単位でテレワーク制度を活用できる

日本の大手食品会社である味の素は、2014年より「どこでもオフィス」と称し、どこにいても仕事ができる環境を整えました。

社員のテレワーク率は84%を超え、テレワークの推進にも積極的です。

また、最大週4日まで終日だけでなく、30分単位でテレワークを活用できる制度を導入。

さらに、「新卒者や勤続一年未満を除く全社員のテレワーク利用が可能」と対象範囲も広いですね。

その結果、自社意識調査によると、テレワークを実施した社員の79%が働きがいを感じると回答しています。

2-3. 【株式会社リコー】サテライトオフィス勤務を可能に


事務機器などでお馴染みのリコーでは、1990年代から多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組んできました。

2016年には在宅勤務制度を本格的にスタートさせ、終日でのサテライトオフィスでの勤務を可能としました。

2019年からは社外のサテライトオフィスが利用できるように。

社内の各事業所に設置されているサテライトオフィスからは、無線LANを利用することで社内ネットワークに接続可能にしました。

また、電源等を完備した社内サテライトオフィスの新設や増設を積極的に行い、テレワークの推奨を行なっています。

2-4. 【アフラック生命保険株式会社】在宅勤務とフレックス制度の組み合わせが可能

生命保険会社の大手アフラックでは、「時間」と「場所」にとらわれない働き方の実現を目指しています。

・Web会議システムを導入した自宅で働ける環境作り

・全社員が利用できるサテライトオフィス、コワーキングスペース首都圏などに設置

・全ての社員を対象として在宅勤務を導入

・フレックス制度との組み合わせが可能



など、社員が安心してテレワークを行えるような取り組みを行っています。

かなり柔軟で時間を効率的に使った働き方ができそうですよね。

例えば午前中は自宅で資料やデータ作成を行い、午後からはサテライトオフィスで会議や電話対応、16時には退勤するなどの働き方が可能です。

上記のような柔軟な働き方をしている社員の事例を社内で共有するなど、時間と場所にとらわれない働き方の促進活動も行っています。

3. まとめ

コロナ禍によるテレワークの普及率と導入事例を紹介しました。

今回のまとめとして…

・新型コロナや働き方改革以前にもテレワーク促進の動きはあった

・モバイルワークの割合が多かったが、新型コロナの影響により「テレワーク=在宅勤務」の形が出来上がった

・年々テレワークの導入率は上昇し、新型コロナの影響により一気に普及

・さまざまな企業が独自の取り組みを用いてテレワークの促進を行っている



テレワークの導入率は年々増加傾向にあることがわかりましたね。

もちろん、この背景には新型コロナの影響もあります。

不要不急の外出を強いられ、テレワークに移行せざるを得ない状況になってしまった企業も少なくありません。

そして、働く人一人ひとりが「自由で柔軟な働き方」を求めるようになったのも、テレワークが導入される理由のひとつではないでしょうか。