
テレワーク環境でのサイバー攻撃防御:必須のセキュリティ対策
- カテゴリ: テレワークのセキュリティ
- 公開日: 2024/12/9
テレワークの急速な普及により、企業は新たなサイバーセキュリティの課題に直面しています。
従来のオフィス環境とは異なり、テレワーク環境では企業と個人とのネットワーク境界が曖昧になり、セキュリティの脆弱性が増大してしまうのでしょう。
本記事では、テレワーク環境における主なセキュリティリスクと、それらに対する効果的な対策について解説していきます。
さまざまな側面からの総合的なアプローチを提案し、誰でも実践できる具体的な方法をご紹介しましょう。
1. テレワーク環境の主なセキュリティリスク

テレワークの普及に伴い、新たなセキュリティリスクが浮上しています。
以下では、特に注意が必要な3つのリスクについて詳しく解説していきましょう。
1-1. クラウドサービスの設定ミス
テレワークの普及に伴い、多くの企業がクラウドサービスを活用していますが、適切に設定・管理されていないと、重大な情報漏洩につながる可能性があります。
特に注意が必要なのは、公開範囲の設定です。
2020年には、大手テクノロジー企業が顧客データを含む約900GBのデータを誤って公開したという事例も報告されています。
このリスクに対処するためには、以下の対策が効果的です。
1.クラウドサービスの設定を定期的に見直し、不要な公開設定がないかチェックする。
2.アクセス権限を必要最小限に制限し、定期的に見直す。
3.クラウドセキュリティの専門家による監査を定期的に実施する。
4.クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)を導入し、クラウドサービスの使用状況を可視化・制御する。
1-2. 私物端末の業務利用
テレワーク環境では、従業員が私物のパソコンやスマートフォンを業務に使用するケースが増えています。
私物端末は企業の管理下にないため、セキュリティ対策が不十分であることが多く、マルウェア感染や情報漏洩のリスクが増大。
また、紛失や盗難のリスクも否定できません。
このリスクに対処するためには、以下の対策が推奨されます。
1.可能な限り、会社支給の端末を使用するよう従業員に促す。
2.私物端末を使用する場合は、モバイルデバイス管理(MDM)ソリューションを導入し、企業データへのアクセスを制御する。
3.私物端末に対するセキュリティポリシーを策定し、最低限のセキュリティ要件(パスワード設定、暗号化、リモートワイプ機能の有効化など)を定める。
4.定期的にセキュリティ監査を実施し、ポリシーの遵守状況を確認する。
1-3. リモートアクセスの脆弱性
テレワーク環境では、従業員が自宅から会社のシステムにアクセスする必要があります。
このリモートアクセスの方法として、リモートデスクトッププロトコル(RDP)やVPN(仮想プライベートネットワーク)が広く使用されていますね。
しかし、これらの技術を狙った攻撃が増加しており、重大なセキュリティリスクとなっています。
たとえば、2020年にはRDPを狙った攻撃が前年比で768%増加したという報告がありました。
また、VPN機器の脆弱性を悪用した攻撃も多発しており、2021年には大手ゲーム会社がVPN機器の脆弱性を突かれ、顧客情報が流出する事件も発生。
このリスクに対処するためには、以下の対策が効果的です。
1.RDPやVPNの最新のセキュリティパッチを迅速に適用する。
2.強力なパスワードポリシーを適用し、定期的なパスワード変更を義務付ける。
3.多要素認証(MFA)を導入し、パスワード以外の認証要素を追加する。
4.ゼロトラストネットワークアーキテクチャを採用し、常に認証と承認を要求する。
5.ネットワークアクセス制御(NAC)を導入し、デバイスの健全性を確認してからネットワークアクセスを許可する。
2. 効果的なセキュリティ対策

テレワーク環境のセキュリティを強化するには、さまざまなアプローチが必要でしょう。
2-1. 技術的対策
最新のセキュリティ技術を活用し、システムレベルでの防御を強化します。
多層防御の実施が、より強固なセキュリティを実現する鍵となるでしょう。
技術的対策は、サイバー攻撃から企業を守る最前線となりますね。
以下の対策を組み合わせることで、強固なセキュリティ態勢を構築できます。
1.データの暗号化
重要な情報を暗号化して保護します。特に、クラウドストレージに保存されるデータや、メールで送受信されるデータの暗号化が重要です。
2.VPNの使用
安全な通信経路を確保するために、VPNの使用は不可欠です。定期的にVPNの設定を見直し、最新のセキュリティパッチを適用することが重要です。
3.セキュリティソフトの更新
アンチウイルスソフトやファイアウォールなどのセキュリティソフトを常に最新の状態に保つことが重要です。
4.SASE(Secure Access Service Edge)の導入
クラウドベースのセキュリティを統合的に提供するSASEは、テレワーク環境に適したソリューションです。
5.エンドポイント検知・対応(EDR)ツールの導入
EDRツールは、端末レベルでの異常な活動を検知し、迅速な対応を可能にします。
ネットワーク保護・エンドポイント保護・データ保護やユーザー認証など、複数の層での防御を強化することで、より強固なセキュリティを実現可能となります。
2-2. 物理的対策
テレワーク環境特有の物理的リスクに対応するための対策を講じ、端末の管理やデータの持ち出し規制など、具体的なルール作りをしましょう。
テレワーク環境では、オフィス環境とは異なる物理的なリスクが存在します。
以下の対策を講じることで、これらのリスクを軽減可能です。
1.端末の保管
盗難や紛失を防ぐため、端末を安全に保管することが重要です。特に、公共の場所での作業時には細心の注意が必要です。
2.データの持ち出し規制
不必要なデータの持ち出しを禁止し、必要な場合でも暗号化を義務付けることが重要です。
3.作業環境のルール設定
のぞき見防止や機密書類の扱いなどのルールを決めることが重要です。
4.安全な廃棄方法の徹底
不要になった書類や電子機器の安全な廃棄方法を定め、徹底することが重要です。
2-3. 人的対策
セキュリティ対策の最も重要な要素は「人」です。
従業員への教育を通じて、組織全体のセキュリティ意識を高めることが重要となるでしょう。
これが最も重要で、同時に最も弱い部分です。
以下の対策を通じて、従業員のセキュリティ意識を高め、人的ミスによるセキュリティ事故を防ぐことができます。
1.セキュリティ教育
全従業員に定期的な研修を実施することが重要です。フィッシング攻撃の見分け方、安全なパスワードの作成方法、ソーシャルエンジニアリングへの対処法など、実践的なスキルを身につけさせましょう。
2.啓発活動
ポスターやニュースレター、社内SNSなどを活用し、日常的にセキュリティ意識を高める工夫をしましょう。
3.インシデント報告の奨励
問題があったらすぐに報告する文化を作ることが重要です。
4.セキュリティポリシーの策定と周知
明確なセキュリティポリシーを策定し、全従業員に周知徹底することが重要です。
5.模擬訓練の実施
フィッシングメールの模擬訓練やインシデント対応の模擬訓練を定期的に実施することで、実践的なスキルを養うことができます。
3. まとめ

テレワークは働き方に革新をもたらす一方で、新たなセキュリティ課題も生み出していますね。
しかし、適切な対策を講じることで、これらの課題を克服し、安全かつ生産性の高いテレワーク環境が実現可能です。
企業の信頼を守り持続可能な成長を支えるためには、全社一丸となったセキュリティ対策が必須でしょう。
常に最新の脅威に注目し、新たな対策技術を積極的に取り入れながら、組織のセキュリティ文化を醸成していくことが、これからのデジタル時代を生き抜くための重要な経営課題となるでしょう。