テレワーク中の社員管理を円滑にする方法

  • カテゴリ: その他人事
  • 公開日: 2025/9/1

テレワークでの社員管理に悩むマネージャーへ

テレワークが当たり前となった今、多くのマネージャーが「どうやって社員をうまく管理すればいいのか」と悩んでいます。

出社していれば自然とできていた声かけや進捗確認も、画面越しでは難しくなりがちです。

必要以上に干渉すれば信頼を失い、放任すれば進捗が見えなくなる…。そんなジレンマに陥っていませんか?


本記事では、テレワーク中でも円滑に社員をマネジメントするための具体的な方法をご紹介します。

マネージャーとしての悩みを軽くし、チームを前向きに保つヒントを得られるはずです。

1. テレワークにおけるマネジメントの課題

テレワークの最大の課題は、社員の働きぶりが「見えにくい」ことです。

オフィスではちょっとした表情の変化や、つぶやきから部下の状況を察知できますが、リモート環境ではそうはいきません。

以下のような問題が起こりやすくなります。


・チームの一体感が薄れる

・部下のモチベーション低下に気づきにくい

・サボっていないか心配で、過干渉になりがち

・進捗報告が曖昧で、評価がしにくい


このような課題に対しては、「見えないものを可視化する工夫」と「信頼をベースとした管理」がカギになります。

単に監視の仕組みを入れるのではなく、「部下が働きやすく、成果を出しやすい環境をつくる」という視点に立つことが重要です。

2. 成果主義の導入

テレワークでは「働いている姿」よりも「どんな成果を出したか」が評価の中心になります。

つまり、目に見える行動ではなく、成果を軸としたマネジメントが必要です。

そのために、次のような仕組みを取り入れると効果的です。


・目標を数値や納期で具体化する(例:〇日までに提案書完成)

・成果とプロセスの両方を評価する

・目標設定は社員と一緒に決める(押しつけない)

・評価の基準をチーム内で共有し、透明性を持たせる


とくに有効なのが「SMARTの法則」に沿った目標設計です。

これは以下の5つの観点から目標を設定するフレームワークで、テレワークにおける目標管理にも非常に役立ちます。


S(Specific)=具体的であること:何を達成するのかが明確

M(Measurable)=測定可能であること:数字や成果で確認できる

A(Achievable)=達成可能であること:無理のない範囲である

R(Relevant)=関連性があること:組織やプロジェクトの目的と合っている

T(Time-bound)=期限があること:いつまでに達成するかが決まっている


このルールに従って目標を設定すると、部下も「どこを目指せばいいのか」が明確になり、取り組みやすくなります。

また、評価する側にとっても基準がブレにくく、公平性のあるマネジメントが実現できます。

成果主義は、社員の自律性を引き出し、マネージャーの負担も軽くする仕組みです。

ポイントは「結果だけを見る」のではなく、納得感のある目標設定とプロセス評価を組み合わせることです。

3. コミュニケーション頻度の最適化

テレワークでは「連絡しない=関心がない」と受け取られることがあります。

一方で、毎日長時間のミーティングでは疲弊してしまう…。ここで大切なのが、適切な頻度と形式でのコミュニケーション設計です。

おすすめの工夫は以下の通りです。


・毎朝15分のショートミーティングで一日のタスクを共有

・週1回の1on1で個別の悩みや進捗をフォロー

・雑談専用チャットルームをつくり、気軽な会話を促進

・オンラインでもビデオONで表情を確認できるようにする


とくに1on1では、業務だけでなく「最近どう?」という問いかけを大切に。相手のモチベーションやストレスを把握しやすくなります。

会わないからこそ、「話せる時間」「気にかけているよ、という姿勢」がチームの信頼を築きます。

少なすぎても多すぎても逆効果なので、「ちょうどいい距離感」を探ることがポイントです。


4. 勤怠と業務報告の仕組みづくり

オフィスでは自然に見えていた「誰がいつ、どの仕事をしているか」が、テレワークでは見えにくくなります。そのため、勤怠や業務報告の見える化が不可欠です。

これには以下のような方法が効果的です。


・勤怠管理ツールで出退勤を記録(打刻式やステータス更新型)

・業務内容や進捗を共有するための日報・週報を簡潔にフォーマット化

・タスク管理ツール(Trello、Notion、Backlogなど)の活用

・結果だけでなく、悩んだ点や工夫した点も記入できる項目を設ける


大事なのは、「管理のため」ではなく、「チームが安心して連携できるための仕組み」であること。

社員も「やらされている感」ではなく、「自分の仕事を見てもらえている」と感じられるような設計が理想です。

また、報告へのフィードバックを忘れずに行うことで、報告する側のモチベーションも維持できます。

5. まとめ:信頼関係を築くマネジメント

テレワークにおける社員管理の本質は、「管理」ではなく「信頼支援にあります。顔が見えない環境だからこそ、マネージャーの姿勢がこれまで以上に問われます。


まず前提として、テレワークでは従来の「行動」や「態度」を見て評価するマネジメントは通用しにくくなっています。

代わりに必要なのは、以下のような視点です。


・成果を軸に目標を共有し、達成状況をチームで見える化する

・必要なコミュニケーションを、適切なタイミングで行う

・働く環境(ツール・ルール・心理的安全)を整える

・一人ひとりの働き方に理解を示し、柔軟に対応する


これらを支える土台が「信頼関係」です。信頼があれば、部下は「見張られている」ではなく「見守られている」と感じ、主体的に動くようになります。

逆に、信頼がないと、どれだけ管理を強化してもチームはぎくしゃくしてしまいます。

また、信頼は一方通行では築けません。以下のような行動が信頼構築につながります。


・成果や工夫をきちんと認めて、言葉にして伝える

・困っていそうなときは早めに声をかけ、寄り添う

・評価基準や判断理由を開示し、納得感を大切にする

・チームの目標と一人ひとりの成長を両立させる視点を持つ


マネージャー職は「結果だけを見る冷静な評価者」ではなく、「目標に向かうチームのガイド役」としての役割が求められています。

テレワークという環境を逆手にとって、よりフェアで、より自律的なチームづくりを進めるチャンスと捉えましょう。

社員にとって「頼れる存在」であること。これこそが、テレワーク時代のマネジメントに必要な最も重要な視点です。


最後に強調したいのは、完璧な管理ではなく、誠実な関わりが最も大切だということです。

やりすぎず、放置せず、ちょうどよい関わり方を探りながら、テレワーク時代にふさわしいマネジメントスタイルを確立していきましょう。