テレワーク導入で広がった地方移住ブームのその後について!今も移住者は増えているのか?人気の県は?

  • カテゴリ: その他テレワーク
  • 公開日: 2023/10/23

新型コロナウイルスにより、テレワークを中心とした新しい働き方を推奨する企業が増えています。

テレワークに伴い地方移住を考える人が増加していると言われていますが、実際はどうなのでしょう?

テレワークによる地方移住ブームは進んでいるのか、人気の移住県、今後の地方移住増加について詳しく解説していきます。

1. コロナ禍で変化した東京の人口一極集中


市町村や都道府県の転入数や転出数は「転入超過」「転出超過」で比較することができます。

その地域への転入数が転出数を上回ると転入超過となり、人口増加傾向であることがわかり、逆に転出数が上回ると転出超過となり人口が減少したことになります。

コロナ禍前の東京都は転入超過の状況が続いていたのですが、コロナ流行の2020年に入ると変化が表れます。

2020年の東京都への転入超過数は44,731人と転入超過ではあるものの、前年と比較すると7,898人減少し、更に2021年になると転入超過数は30,151人まで縮小したのです。

これは東京都からの転出者が増加したことによるもので、密を避けるための施策として普及したテレワークも、この転出者増に影響したと考えられています。

2. 地方移住ブームのその後は?

では、新型コロナウイルスが5類感染症へと引き下げられた現在、東京の転入・転出数はどう変化したのでしょうか。

総務省が発表している住民基本台帳によると、2022年東京都の転入超過は38,000人、2023年には48,000人となり、再び東京一極集中の傾向が強まってきていることがわかります。


また感染拡大以降は東京近隣の埼玉県・千葉県・神奈川県でも転入超過の状態が続き、特に東京都からこの近郊3県へ転出する人の数は2.3万人と、コロナ感染症拡大前の10倍になっているのです。


東京都への転入増加だけでなく、東京周辺を中心とした地方移住も年々増加傾向にあることがわかります。


参考:
総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告

総務省「住民基本台帳」 

3. 地方移住における企業側のメリットとデメリット


テレワークをしている従業員にとって、働く拠点をどこにするかは重要な問題です。

テレワークに伴う地方移住を検討する企業は、そのメリットとデメリットについて把握する必要があります。

3-1. 企業側のメリット

・従業員の働き方改革への推進
・BCP(事業継続計画)対策になる
・地域社会への貢献になる


従業員が好きな場所で働けることは、従業員のワークバランスの充実、仕事へのモチベーションアップにつながり、仕事の生産性向上を見込むことができます。


また、従業員の地方移住はBCP対策としても有効です。

BCP対策とは災害発生時に企業のダメージを最小限にし、事業継続や復旧をスムーズにするための施策のことです。

会社機能を地方へ分散させることで業務不全に陥ることを未然に防ぐことができます。


他にも、政府が掲げる地方創生(首都圏への人口密集を是正し、47都道府県それぞれの地域活性を目指す施策)の実現のためにも地方移住は、都心への集中する消費を軽減させ、地域社会の貢献にも繋がる取り組みと言えるのです。


参考:
内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生

3-2. 企業側のデメリット

テレワークや地方移住により、従業員が会社に集まる機会が一気に減ります。

そのため経営陣や上司とのコミュニケーションの場が減り、会社のビジョンや目標の共有がしにくくなる傾向があります。


目標意識の低下は会社に対する帰属意識の低下にもつながる可能性があり、さらには離職リスクが高まることも懸念されます。

企業側は従業員を孤立させないためにもテレワーク時のルールや評価基準を明確にし、コミュニケーションツールの導入などあらかじめ対処法を考えておくと良いでしょう。


また従業員の地方移住に合わせ、地方へのサテライトオフィス整備や、多様な働き方を選択できる環境づくりなど、様々な規定や設備を整える企業も増えてきています。

他社の事例を参考にすることも有効な手段と言えます。

4. 企業側が気を付けるべきこと


地方移住に憧れる人は多いのですが、いざ行動に移すとなるとなかなか踏み出せないものです。

地方移住をすることで人混みからの解放や時間の余裕、物価の安さから生活コストが下げられるなど様々なメリットが考えられる一方で、住居や生活の不安、人間関係などの心理的なハードルというデメリットも存在します。


また地方移住は従業員本人の都合だけでなく、家族も一緒に慎重に決めていく必要があります。特に子どもがいる場合は、移住により生活環境が大きく変わるため配慮をしなければなりません。

企業は従業員の意思を確認し、移住にはメリットとデメリットの両面があることを伝えたうえで、従業員が幸せに働ける環境をサポートする必要があります。


また、2023年までに東京圏から地方移住することで最大100万円の移住支援金制度があることも社員に共有してあげると良いでしょう。


参考:
内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生「移住支援金

5. 地方移住の人気県とは


ここでは地方移住の人気の都道府県と、移住者への支援事業についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

5-1. 静岡県

中部地方に位置し富士山でも有名な静岡県は、常に上位にランクインする人気の移住先です。

北部には南アルプス山脈、南部には駿河湾など、海や山、川に囲まれ自然豊かで気候は雪が降りづらく、寒さが苦手な方には住みやすい土地と言えるでしょう。

また利便性の面でも、静岡駅・浜松駅・三島駅は東海道新幹線の停車駅となっているため、東京や大阪への移動が楽にできることもポイントです。

静岡市では空地情報バンクに登録してある空き家を購入した場合、補助対象経費の3分の1を補助をする制度があります。


静岡市空き家改修事業補助金交付制度

5-2. 長野県

本土の中心に位置する長野県は、盆地のため夏と冬の寒暖差や昼夜の気温差が大きいことが特徴です。

自然が豊富なためスキーやスノーボード、登山など楽しむことができ、沢山の観光客が訪れる場所です。


首都圏へのアクセスも良く、北陸新幹線を利用すると長野駅から東京駅まで約80分で到着することができます。

長野県では移住しやすいように移住者の溶け込み支援を行っている地区「長野県移住モデル地区」を認定しています。

5-3. 山梨県

山梨県は東京の隣に位置し、富士五湖など美しい湖沼が点在する自然美あふれる土地です。

日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きいことが特徴です。


また、県内には温泉も点在しており日帰りで温泉を楽しむことができるのも魅力のひとつと言えます。

中央自動車道やJR中央線など交通網が整っているため、都心部へのアクセスも良い地域です。


山梨県の甲州市では移住を検討している方に対し宿泊施設を2か所提供しています「甲府らいふ」。

移住体験をすることで、住みやすい街かを判断することができます。

5-4. 福岡県

九州地方の上部に位置する福岡県は、年間を通して比較的温暖で過ごしやすい土地です。

都市部ではほとんど雪は降りませんが、日本海側に位置する福岡市や北九州市は冬になると寒気の影響で雪が降ります。


福岡県は食べ物がおいしいことでも有名で、大粒イチゴのあまおうや、天然フグ、ラーメンなど様々なグルメが堪能できます。

また都心へのアクセスとして福岡市には市街地から5㎞の場所に福岡空港があるため、出張や旅行にも便利です。


福岡県の久留米市では、移住した方が久留米市内に新築または中古物件を購入した場合に補助金が交付されます。


久留米暮らし・移住ファミリー支援事業補助金

6. 今後の地方移住の増加は?


新型コロナウイルスが収束に向かい、以前のように東京圏への転入超過が拡大してきたものの、テレワークなど新しい働き方やライフスタイルの多様化により今後も地方移住をする方は増えていくと予想されます。


テレワークは従業員のワークライフバランスを尊重する働き方である一方、企業側にとっても、優秀な人材の確保や長く働いてもらえる環境づくりには欠かせないものです。

企業はテレワーク推進に合わせ、従業員の地方移住への後押しができる体制を整えることが必要となります。

7. まとめ

テレワーク推進に合わせて地方移住も可能としている企業は多数あります。

しかし一方的に地方移住を推し進めるのではなく、企業側は従業員に意思確認をしたうえで働きやすい環境を整備していくことが重要です。


地方移住のメリットとデメリットを比較し、テレワークによる地方移住を推進することが自社にとってどのような有益をもたらすか、ぜひ一度ご検討してみてください。