
若い社員の離職を阻止したい中小企業向け!辞めないようにする施策や雰囲気づくりを徹底解説します
- カテゴリ: その他人事
- 公開日: 2023/11/27
労働人口の減少が進む中、若い社員の離職は企業にとって大きな課題と言えます。
とくに中小企業では離職率が高くなる傾向にあり、頭を悩ます経営者も多いのではないでしょうか。
この記事では中小企業における早期離職を改善するための施策や、働く従業員にとって居心地が良いと思える環境づくりについて解説していきます。
目次
1. 若い世代の離職率について
厚生労働省によると就職後3年以内の離職率は高卒就職者で35.9%、大学卒就職者が31.5%と発表されています。
中小企業全体の離職率は約40%と言われ、中小企業に関わらず従業員人数が500人以下の事業所の離職率は35%、従業員数30人以下になると51%まで上がっていきます。
従業員人数が多くなるほど離職率は下がり、逆に従業員人数が少ない事業所になると離職率は上がる傾向になっているのです。
離職の理由の多くはストレスと言われ、その原因のほとんどは企業側にあります。
会社で抱える課題を明らかにし改善させていくことが、離職率低下を食い止める第一歩に繋がっていくでしょう。
参考:厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」
2. 若い社員の離職する理由とは
まずは中小企業における若い社員が「なぜ離職を考えるのか」を知ることで必要な対策を講じることができます。
2-1. 仕事内容が合わない
いざ入社したものの、実際の仕事が自分の希望する業務でなかったり、想像と違っているとズレが生じ離職を考えるようになります。
また人数が少ない中小企業の場合、1人に対しての仕事量や労働時間が増えるケースも見受けられ、肉体的にも精神的にも苦痛を感じることがあります。
2-2. 人間関係に問題がある
上司や先輩、同僚との人間関係がうまく構築できなかったり、意見を伝えにくい環境はその人にとって大きなストレスとなります。
職場や部署の人数が少ない企業は、そこに相談できる相手がいなかったり、関係が悪くなると職場に居づらくなるなど、人間関係で仕事を辞めてしまうことが多々あります。
また上司や先輩社員から高圧的な言葉遣いをされて、会社に行くことが怖いと感じるようになる若い社員もいるでしょう。
2-3. 労働時間や条件が悪い
プライベートの時間を確保しにくい職場は離職につながりやすいと言えます。
中小企業に限ったことではないのですが、休憩時間や休日の決まりがあいまいだったり、有給休暇が取りづらい環境、残業が多いなど、労働環境が悪い職場には社員が定着しない傾向があります。
2-4. 仕事にやりがいが見いだせない
キャリア形成が見込めない職場や、やりがいや成長が期待できない環境では将来が不安になる若い社員も多くいます。
まだ若いからといって同じことを繰り返すばかりの業務や、経験を積ませないままの環境では本人がその会社で働く意義を失うことに繋がるのです。
2-5. 会社の将来が不安
家族経営や年功序列制度が強く残る中小企業も多くあります。
このような中小企業で働く若い社員の中には、会社の将来性に不安を抱く人も出てくるのではないでしょうか。
また従業員に対しビジネスプランや理念を明確に伝えていない環境では、従業員が自身のキャリアにも希望が持てず早期離職を選択するようになります。
3. 若い社員のとって良好な環境の特徴
若い社員が辞めないようにするには、社内の環境づくりは非常に重要です。
従業員にとって居心地の良い環境について、その特徴についてまとめました。
3-1. コミュニケーションが円滑に取れている
社内は上司や同期の仲間と円滑にコミュニケーションが取れる環境になっているでしょうか。
立場に関係なく活発に意見が交換できる環境は、仕事の悩みや企業の価値観をともに考えることができます。
3-2. 働く時間・場所が選ぶことができる
働く時間や場所にとらわれない働き方が主流となりつつある現代、それに逆光するような職場は若い社員にとって居心地の良い環境とは言えなくなっています。
フレックスタイム制やリモートワークの導入など、社員が自分のライフバランスに合わせた働き方が選択できることも、好まれる環境と言えるでしょう。
3-3. 福利厚生が整備されている
長期休暇や有給休暇が取りやすい職場は、若い社員にとって長く続けられるポイントになるでしょう。
また、従業員やその家族が利用できる福利厚生を充実することで、「待遇が良く従業員への配慮がある企業」として見られることも多いです。
4. 若い社員の離職を防ぐための施策
では若い社員が辞めないようにするにはどのような施策を打ち出すと良いのでしょうか。
中小企業において若い社員の離職を防ぐための施策について紹介します。
4-1. 採用時に正しい企業情報を伝える
入社後、仕事内容の認識のずれをなくすためには、採用時に会社の情報発信を正しく行うことが必要です。
求人広告に記載されている内容だけでなく、実際の仕事での大変なことや、残業時間がどれ位あるのかなど隠さずに伝えるようにしましょう。
良い面だけでなく厳しさも理解したうえで入社することでミスマッチが減ります。
4-2. 労働環境の見直し
長時間労働や休日出勤が常態化してしまっているのであれば、速やかに労働環境の見直しを行う必要があります。
勤務管理や休日管理をしっかり行い、多重労働を防ぐ施策を実施しましょう。
4-3. 定期的なフォロー体制を作る
若い社員が1人で不安や不満を抱え込ませないためにも、定期的にフォローができる体制づくりは重要になります。
1on1で上司と直接話をする場も効果的ですが、年齢の近い先輩社員と話をする機会を多く持ち、業務面やメンタル面のサポートをすることも大切です。
4-4. 柔軟な働き方を導入する
育児や介護、通院など事情を抱える人にとって、仕事をうまく両立できるような柔軟な働き方を取り入れることも長く働いてもらえる環境といえるでしょう。
例えばテレワークなどの在宅勤務を推奨しているのか、フレックスタイム制や時短勤務制度など時間の融通が利く制度を取り入れているのかなどが挙げられます。
多様な働き方を選択肢に与えることで離職率を低下が期待できます。
4-5. キャリアデザインの場を作る
自社ではどのようなキャリアを築けるのかを伝えることも大切です。
何年後に自社でどのようになっていたいか、どのようなポジションを目指したいのか、そのために今何をすべきか、など長期的な目標を与え、ステップアップへ導いてあげることが必要です。
自分の目標が明確になりそれに沿ったスキルアップがわかれば、モチベーション向上にもなり仕事に意欲をもって取り組むことができるでしょう。
4-6. 上司のマネジメントスキル強化
指導する側の対策も必要です。
コーチング研修やフィードバック研修などを行い、上司は言葉遣いや指導方法を学び、マネジメント能力を強化することで離職率がかなり低下すると考えられます。
指導する側が若い社員や部下との向き合い方を学び、その人にあった最適な指導や助言ができるようになることで、より会社への定着率が上がるでしょう。
5. 環境づくりも多様性を重視
仕事の負荷も低く、優しい先輩に囲まれた環境に勤めていながらも、離職を考える若い社員は一定数います。
居心地の良い環境が逆に緊張感のない職場となり、上司と部下のフラットな関係が慣れ合いになってしまうことで、仕事に対してメリハリがなくなってしまうからです。
また簡単な仕事ばかりでは物足りなさを感じる社員も出てくるでしょう。
向上心のある社員にとっては将来性を見いだせず、自己の成長に繋がらないと感じるため離職を考えてしまいます。
今の若い世代はプライベートを重視できる環境が好ましいという印象がありますが、全員がそうではないということを理解する必要があります。
一概に「若い世代」とくくるのではなく、実際は人によって価値観が違うということを見落としてはいけません。
良質な労働環境はもちろん大切ですが、それだけではなく、やりがいや挑戦を重視している人に対し適切な環境を与えてあげることが求められているのです。
会社は社員の様々な考えを尊重したうえで、環境や施策を打ち出しながら組織の経営目標を達成していかなければならないのです。
6. まとめ
制度を大幅に変更することが難しい場合であっても、人事制度の工夫や福利厚生、教育体制などを見直すことで若い社員が定着してくるでしょう。
また大企業より人材が少ない中小企業では、若い社員にも様々な仕事を経験させることができ、責任あるポジションを与えることも可能になります。
それは意欲の高い社員にとっては魅力的な環境と言えるのではないでしょうか。
自社にあった施策を取り入れ、若い社員が辞めないような環境作りを推進していきましょう。